ヤマト運輸は宅配便運賃の値上げを検討していると報じられました。 インターネット通販が増えてドライバーの不足が深刻になるなど、サービスの維持が難しくなっている状況を打開するのが目的だそうです。
また宅配便の再配達が増えたことでドライバーの労働事情が話題になっています。利用者側から見ればとても便利な宅配便ですが、今後のありかたを考えてみたいと思います。
ネット通販の普及
私たちはインターネットの普及で、いろんなニュースや出来事をスマホやパソコンで見たり、近くで手に入らない商品や値段の安い商品を通販で買うことができます。
その便利さから、ネットで物を買う人は年々増え続けていて、私のまわりでも若い人の多くは通販を利用しています。
それに比べシニア世代になると通販利用人数はかなり少なくなります。しかし何年後かには高齢者でもネットを通じていろんなサービスを買うようになり、同時に再配達の数も多くなっていくと考えます。
再配達が生じる理由
- 贈り物など何時配達されるか分からない。
- 通販で日時指定をしていなかった。
- 日時指定はしてあったが急な用事が入り出かけていた。
- 家にいたが裏で仕事をしていた。
など、さまざまなことがあります。
再配達となるとドライバーの配達時間の増加にもなるし、エネルギーの観点からみても無駄な作業であることは間違いありません。
再配達にかかるコストを利用者に負担してもらえば問題ないのですが、 顧客の獲得のため同業他社としのぎを削っている業者にしてみれば、なかなかそうはいきません。
そうなるとドライバーにしわ寄せがいき過酷な労働を強要します。
通販利用時にできる事は
・コンビニエンスストア受取り
ヤマト運輸の場合、配送料は100円引き。
・営業所に止め置くサービス
ヤマト運輸の場合200円引き。
自宅での受取り方法では宅配ボックス
宅配ドライバーが商品を入れ鍵をかける。
受取り証明用の印鑑は分かるところに置いておく。
印鑑の置きっ放しは不安ですが、
受取り側が了解していればなかなか良い方法です。
不在時の再配達無案(可能か分からない)
ドライバー
不在時に最寄りのコンビニエンスストアあるいは営業所を指定した不在通知書」をポストに入れる。
受取り側
「不在通知書」を見て本人証明書(Myno.カード、免許証、保険証)を持参して記載の場所に取りに行く。
まとめ
当たり前のように配達してもらっている宅配便は便利ですが、何度も足を運ぶのでは効率的ではありません。
贈り物などは仕方ないですが、自分が通販で買い物をして配達してもらう時は、必ず在宅中の時間帯を指定するとか、まだ元気な人はコンビニエンスストア受取りや 営業所に止め置くサービスを利用するのも一案です。
利用する側も少し意識を変えて、できる事から行えば再配達の減少に役立つのではないでしょうか。
追記
3月31日 セブンイレブンがヤマトの宅配ロッカーを設置
コンビニエンスストアのセブンイレブンが都内の30店舗にヤマトの宅配ロッカーを設置するようです。このサービスを利用するには会員制サービス「クロネコメンバーズ」への登録が利用条件になるそうですが、誰でも利用できるサービスになればよいですね。
駐車場も広く利用しやすいコンビニエンスストアは、今後ますます利用価値が高まっていきます。
4月8日 ヤマトが即日配送撤退を検討
ヤマト運輸が、インターネット通信販売大手アマゾンの即日配送サービスからの撤退を選択肢に検討していると報じられた。
合意すれば即日配送の引き受けを徐々に減らすとのこと。即日配送は人手が不足する中で夜間配送増加の原因となっており、サービスの維持が難しいと判断した。
アマゾンの即日配送はヤマト以外にも日本郵便が地域限定で請け負っており、今後は日本郵便側がサービス地域拡大を受け入れるかが焦点となる。
参考記事:毎日新聞
4月29日 ヤマト運輸が基本運賃の値上げ
ヤマト運輸は28日、宅配の基本運賃を9月までに140~180円値上げすると発表しました。
ドライバーの負担が大きくなる再配達の増加が取り上げられてから数カ月の早い決定です。
この間に配達時間帯の調整や、コンビニエンスストアと契約し再配達荷物の留め置きを、アマゾンの即日配達から撤退を発表するなど、精力的に改革を続けてきた。ドライバーの残業代未払いも明るみに出て、経営者6人の報酬カットも併せて発表しています。
今回の値上げは、社会的インフラとしての宅配を継続するためとして、利用者に理解を求めている。また悪化した採算も改善できるという。
参考記事:北日本新聞
6月16日 大口顧客15%以上値上げ
ヤマト運輸が進めているインターネット通販など大口顧客千社との値上げ交渉で、個人の顧客より大きい平均15%以上の運賃値上げを検討しているそうです。
9月までに交渉をまとめたい考えで、大口顧客に多くを負担してもらうことで、荷物の急増による人手不足の労働環境を改善するもようです。
すでに70%以上の顧客交渉に入っており取扱量が特に多いアマゾンとは、トップ同士の直接交渉で実現を目指しています。
参考記事:北日本新聞
7月17日 高速道での他社との共同輸送を検討
宅配便の最大手のヤマト運輸が、高速道で同業他社との共同輸送を検討していることが14日分かった。トラックに他社のトレーラーを連結しドライバー一人で2台分の荷物を運ぶことで深刻なドライバー不足の緩和につなげるのが狙いです。
宅配もついにここまで来たかという感じがします。宅配を利用する消費者は、その便利さと安さで増える一方ですが、物流を考えた場合本当にそれで良いのでしょうか?
私の場合、店頭に同じものが同じ価格で販売されていれば、ネット通販を利用しなくて店頭で買い求めます。消費者は宅配便で運んでくれるから通販を利用しているのではなく、価格が安いから利用しているのです。一個の品物を各家庭に運ぶより、店頭にまとめて運んだ方が安いに決まっているのになぜ店頭販売の方が高いのでしょうか。不思議です。
先日我が家にも宅配ボックスを置いてみた。
残念ながら初回の配達時は在宅だったので、ボックスは利用されませんでしたが、再配達はないので安心して通販を利用できました。ちなみに宅配ボックスは自家製の段ボール箱で、上蓋に宅配ボックスと書いた簡単なものです。
参考記事:北日本新聞
7月24日 宅配Boxが市場に続々
富山県内の建材メーカーや樹脂製品メーカーが、不在時に宅配物を受け取れる「宅配ボックス」の需要取り込みを強化している。
YKK「ルシアス 宅配ポスト1型」+「H12柱」 納まり
ヤマト運輸のなどの宅配ドライバーの労働事情の改善が求められるようになってから、数カ月の間にいろんな対策や周辺企業のアイデアなどがいち早く検討されました。
今までこんなに早く改善に向けて、みんなが取り組んだ事例を思い出すことができません。社会の無駄をみんなで解決していこうとする国民の気持ちの表れであると感じます。
今回の宅配ボックスについても、利用者の意識が改善方向に向かっているからこそ、企業も事業化しようと考えたわけです。社会を変えるのは政治家ではなく、国民一人一人の意識だという事を痛感させられました。
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